執筆ルール
Sigma の原稿を書くときのルール集です。 ルールは次の3分類で書かれています。
- Must — 全員が守る。PR のチェックと校正の対象
- Should — レビューのときに見る。事情がある場合は理由を添えて外れてよい
- Tips — できると原稿が良くなる知識
出典は Qiita 記事「LaTeXにおける正しい論文の書き方」(birdwatcher)を、Sigma 用に読み替えたものです。
読み替えの要点は、文献処理は bibtex ではなく biber を使うことと、図の並置には subfig ではなく subcaption を使うことです。
Must: 記号とスペース
Section titled “Must: 記号とスペース”,と.の後ろには半角スペースを1つ入れる。前には入れない- 略称は初出で定義する
- 数式中の文字列は立体で書く:
\mathrm、\text、\operatornameを使う \max、\min、\log、\exp、\argなどは専用コマンドで書く
Must: 参照は直書きしない
Section titled “Must: 参照は直書きしない”- 式は
\labelと\eqref、図と表は\labelと\ref、文献は\citeを使う - 「式(3)より」のように番号を文章へ直書きしない(並べ替えでずれるため)
- 文献は biblatex で管理し、処理は biber で行う。本文で引用していない文献は載せない
Must: 数式環境の使い分け
Section titled “Must: 数式環境の使い分け”| 場合 | 使うもの |
|---|---|
| 文中の数式 | $...$ |
| 別行立て・番号なし | \[...\] |
| 別行立て・番号あり | equation 環境 |
| 式変形の連鎖 | align 環境 |
| 長い式を折り返す | multline 環境 |
| 式を並べるだけ | gather 環境 |
eqnarrayは使わない$$...$$は使わない(\[...\]を使う)
Must: 記法の統一
Section titled “Must: 記法の統一”- 三点リーダは、列挙には
\ldots、演算の省略には\cdots - 場合分けは
cases環境で書く - 集合の縦棒は
\mid、空集合は\emptyset - 定義を表す
:=は\coloneqq(mathtools)で書く - 引用符は
‘’ `` の形を使う - 括弧の大きさは内容に合わせて調整する。ただし
\left\rightの濫用はしない
Must: 改行と段落
Section titled “Must: 改行と段落”- 強制改行
\\は原則として使わない(数式の改行は下記の基準に従う) - 段落分けは空行で行う
\vspaceなどで位置や余白を調整しない
Must: 図と表
Section titled “Must: 図と表”- 配置指定は
[tbp]を使う - 図のキャプションは図の下、表のキャプションは表の上
- キャプションは、図表だけを見て内容が分かるように詳しく書く
- 図は原則としてベクトル形式(PDF)。幅は
\linewidthを基準に相対指定する figure環境の中では\centeringを使う(center環境は使わない)- 表は罫線を引きすぎない
Must: ソースの書き方
Section titled “Must: ソースの書き方”- ソースはインデントと改行で読みやすく保つ
- パッケージの読み込みは個人のファイルで行わない(style.sty で一括管理する)
Must: 標準パッケージ(physics / siunitx)
Section titled “Must: 標準パッケージ(physics / siunitx)”微分・ベクトル・量と単位は、手組みせず専用パッケージのコマンドで書きます。
読み込みは style.sty で一括して行うので、個人のファイルに \usepackage を書く必要はありません。
physics — 意味のコマンドで書く
Section titled “physics — 意味のコマンドで書く”- 微分:
\dd{x}、\dv{f}{x}、\pdv{f}{x}、高階は\dv[2]{f}{x}。\frac{df}{dx}のような手組みはしない - 絶対値とノルム:
\abs{x}、\norm{\vb{v}}(大きさは自動で合う)。|や\|の手書きはしない - ベクトル: 太字は
\vb{v}、矢印は\va{v}、単位ベクトルは\vu{x}で統一する - 演算子:
\grad、\curl、\laplacian。発散は\div(physics では発散の意味になる。割り算の記号ではない) - Dirac 記法:
\ket{\psi}、\bra{\phi}、\braket{\psi}{\phi}、\expval{A}{\psi}、\mel{n}{A}{m}。<psi|のような手書きはしない - 評価バー:
\eval{f}_{0}^{1}
siunitx — 数値と単位はこちらで書く
Section titled “siunitx — 数値と単位はこちらで書く”- 量は
\SI{9.8}{\metre\per\second\squared}のように書く。9.8m/s^2のようなベタ書きや、単位の手組みはしない - 数値のみは
\num{12345.678}(桁区切りや指数を自動で整形する) - 単位のみは
\unit{\kilo\gram}、角度は\ang{45;30;0} - 不確かさ付きは
\SI{1.23(4)}{\metre} - 単位の綴りは siunitx の定義に従う。メートルは
\metre(\meterは未定義でエラーになる)
Must: 数式の改行基準
Section titled “Must: 数式の改行基準”等式の連鎖を、1ステップごとに別行立てへ割るかどうかは、次の基準で判断します。
次の全てを満たすなら、等式の連鎖で1行(または文中式)にする
- 連鎖全体が版面幅に無理なく収まる
- 各ステップが、代入・公式の適用・四則演算など、説明文なしで追える自明な変換のみ
- 中間結果を後の文で参照しない(参照するなら、式番号を付けて独立した式にする)
逆に、改行するのは次のいずれかの場合
- ステップに理由の説明が要る
- 中間結果そのものが重要である
- 1行に収まらない
その場合も、割る位置は論理の切れ目に合わせます。
理由: a = b = c という連鎖は、イコールの推移性を使う数学の標準的な記法です。
一方で、別行立てと改行は、読者への「ここは非自明なので注意して追ってください」という合図として働きます。
自明な計算にその合図を使うと、読者は身構えた分だけ拍子抜けし、合図への信頼も下がります。
また、誌面の縦の面積は有限なので、自明な計算に使う分だけ、本当に見せたい式が圧迫されます。
その他の原則:
- 改行は意味の切れ目でのみ行う
- 式だけを3行以上続けない。間に理由の文章を挟む
具体例は「判断事例集」(作成中)に Before / After の組版例付きで載せます。
Should(レビューで見る)
Section titled “Should(レビューで見る)”- 図の中の文字は大きくし、モノクロ印刷でも線種で識別できるようにする
- 半角括弧の前にはスペースを入れる(例: Mean Square Error (MSE))
\barや\tildeがどこにかかっているか分かるように書く- 複数行にまたがる数式では
split環境の活用を検討する - 書いた文章は必ず読み返す。1文を長くしすぎない
- スペースの種類を使い分ける: 改行させない
~、狭い\,、中くらいの\:と\;、広い\quadと\qquad、負の間隔\! \ellとl、\varepsilonと\epsilonの使い分け#は\#、音楽のシャープとは別に\sharpがある- 不等号は
\le、\geの省略形も使える - 番号を消したいときは
\nonumberや、*付きの環境を使う - 日本語の表記は、ひらがなに開くことを意識する: できる/とき/こと/および/なお/したがって/たとえば